ハロイサイトの難燃剤への応用
ハロイサイトのアルミノール表面は酸性となっており、様々な反応の活性点となります。
ファイマテックではこの活性を活かし、難燃剤及び難燃助剤としての応用評価を進めています。
ハメット法による固体酸の評価- ハロイサイトにハメット指示薬を添加すると、赤色を呈し、酸性を示すことが知られています。
ファイマテックでは表面処理剤により、この酸点の露出を調節することが可能です。
ハロイサイトの酸点は、高温下で他の物質の分子鎖に対して攻撃性を示し、難燃主剤を活性化させたり、チャー形成を行うことで、難燃性や相乗効果を発揮します。
- ハメット法による固体酸の比較
- 表面処理を施したグレードは通常酸性を示しません(黄色)が、熱分解により表面処理剤が無くなると、酸点が露出し、難燃性を発揮します。基材の熱分解温度と表面処理剤の分解温度が近い物を選定することで、難燃性が発現しやすくなります。
EVA中へハロイサイトを添加した系にて難燃性を比較し、UL94規格でV-0を達成しました。
エポキシ樹脂/有機リン系難燃剤系にハロイサイトを添加すると樹脂物性が向上しつつ、燃焼時間が短縮し、UL-94試験においてV-0を達成しました
グラフ1.UL試験におけるサンプルの総燃焼時間(合計 n = 5)
グラフ2.曲げ弾性率
エンジニアリングプラスチックス/有機リン系難燃剤系にハロイサイト(AFF-FR450)を添加すると、UL-94試験において燃焼時間が短縮しました。
グラフ1.UL試験におけるサンプルの総燃焼時間(合計 n = 5)
ハロイサイトの難燃性に関わる特徴のまとめ
- 酸点がチャー形成や難燃主剤活性化に優位に働きます。(単体、相乗効果どちらも望める)
- 層間水や水酸基を持ち、火災時に水分子を放出します。
- 少量で効果を望め、5部前後の添加で助剤として使用可能です。
- 酸点の活性化は約200℃ですが、表面処理剤により活性化温度を調整できます。(現在、開発中)
- 耐ドリップ性に寄与します。
- 安全性(環境・人体)が高く、燃焼時も有毒ガスを出しません。
- フィラー効果もあり、樹脂物性を下げません。
ファイマテックではお客様に合わせた表面処理を施す事で、それぞれの樹脂系に合わせた難燃剤の開発を行っております。
2019年12月4~6日に開催された高機能プラスチック展にも出展いたしました。