AFFシリーズ
ファイマテックの炭酸カルシウム製品「AFF(Advanced Functional Filler)」は、湿式粉砕した超微粒子の炭酸カルシウムスラリーに表面処理を施した機能性フィラーです。特殊カチオンポリマーを湿式法で表面処理することで均一に表面改質ができ、カチオンポリマーの樹脂への分散性を高めます。
AFFは様々な表面処理設計が可能で、脂肪酸処理品「AFF-HS」、帯電防止剤表面処理品「AFF-Z」、結晶核剤表面処理品「AFF-ω」、ペイント用顔料スラリー「AFF-TS」をラインナップしております。また特殊分級により粗粒分をカットしたフィルムグレードも有しております。
AFF-HS
AFF-HSは微粒子炭酸カルシウムを特殊カチオンポリマーで表面処理し、さらに12-ヒドロキシステアリン酸で2次表面処理した機能性フィラーです。
改質剤の減量、あるいは無配合でも、引張強度、衝撃強度が向上します。
特徴
- PVC、オレフィンに対する優れた改質効果。
- 成形物表面の改善。
- 押し出し成型時の目ヤニ低減。
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- AFF-HSの粒度分布
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粉体特性
外観 | 白色微粉末 | |
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表面処理剤 | 1)特殊カチオンポリマー 2)12-ヒドロキシステアリン酸 |
|
平均粒子径 | μm | 1.0 |
BET比表面積 | m2/g | 5.7 |
水分 | % | 0.15> |
かさ密度 | g/cm2 | 0.53 |
*物性値は代表値です。
AFF-CB
AFF-CBは石灰石(重質炭酸カルシウム)を、平均粒子径0.6μmまで粉砕し、独自の技術で表面処理することで樹脂中への分散性を高めたグレードです。
また、分級により粗粒子を除去しているため、フィルムや薄膜に添加した際、均一な膜を形成します。
AFF-STF
昨今、食品包装の分野において安全性が強く求められております。ファイマテックでは、そのニーズにお応えするため米国FDA準拠の微粒子炭酸カルシウムAFF-STFをご用意いたしました。
GRAS物質(Substances Generally Recognized as Safe)に該当し、食品接触物質に対する安全規則(Code of Federal Regulation(CFR), Title 21, Section 170~Section 190)に適合しており、食品包装用樹脂製品への添加に最適なグレードです。
あらかじめコンパウンドしたPPマスターバッチのサンプルもご用意しております。
粉体特性
外観 | 白色微粉末 | |
---|---|---|
白色度 | 95 | |
表面処理剤 | ステアリン酸 (植物由来) |
|
粒度分布(代表値) | D50 D90 |
1.2 μm 3.0 μⅿ |
残渣[2000mesh] | 0.05 % |
AFF-Z
AFF-Zは微粒子炭酸カルシウムを特殊カチオンポリマーで表面処理し、さらに帯電防止剤で2次表面処理した機能性フィラーです。
特徴
- 特殊カチオンポリマー
- 炭酸カルシウムとの結合力強化。
- アミノ基(-NH2+)でカチオン性を発現。
- アミノ基を活用した2次表面処理。
- 帯電防止剤
- アミノ基との親和性良好な帯電防止剤。
- ブリードアウトが少なく、長期間帯電防止効果を持続。
- AFF-Z
- 微粒子(平均粒子径1.0μm)。
- 粒度分布がシャープ。
- 微粒子+粒度分布シャープ → 通電回路の断線少ない。
粉体特性
外観 | 白色微粉末 | |
---|---|---|
表面処理剤 | 1)特殊カチオンポリマー 2)帯電防止剤 |
|
平均粒子径 | μm | 1.0 |
BET比表面積 | m2/g | 5.4 |
水分 | % | 0.15> |
かさ密度 | g/cm2 | 0.68 |
*物性値は代表値です。
- AFF-Zの粒度分布
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- AFF-Zと一般品の抵抗値の比較 (BPP / CaCO3 = 50 / 50の固有抵抗率)
○AFF-Z:AFF-95に帯電防止剤を表面に処理。
●一般品+帯電防止剤:未処理炭酸カルシウムに同じ帯電防止剤を表面処理。
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AFF-ω(オメガ)
AFF-ωは微粒子炭酸カルシウムを特殊カチオンポリマーで表面処理し、さらに樹脂の改質剤で2次表面処理した機能性フィラーです。
AFF-ωは、「改質剤の微粒化」、「分散性改善」、「コストダウン」に寄与します。
特徴
- PPに対して少量添加で効果を発揮。
- IZODを低下させない。耐衝撃性の向上。(図1参照)
- 剛性の向上。
(改質剤単体より低下するが、複合材料全体としては向上) - コストダウンへの寄与。
(耐衝撃性向上による既存エラストマー配合量低減)
メカニズム
結晶性ポリマーであるPPは、結晶状態によって機械的物性への影響が違ってきます。
結晶成長(大) | → | 剛性(up) | 耐衝撃性(down) |
---|---|---|---|
微結晶化(多) | → | 剛性(down) | 耐衝撃性(up) |
PP混練時のマトリックス中への分散に関して、一般の改質剤と比較してAFF-ωは以下の様なメカニズムが発生しているため、図1の様な結果が得られていると考えられます。
- AFF-ωはその組成上、炭酸カルシウムフィラーであるため、PP混練時の剪断力により良好に分散する。
- 微粒子が良好に分散している為にPPマトリックス中で微結晶体が多数生成する。
→耐衝撃性の格段の向上 - 特殊カチオンポリマーのアミノ基(-NH2+)と改質剤の極性部が強固に化学結合している為、機能的に安定する。
- 改質作用にはその表面性及び粒子径(比表面積)も大きく影響する。
AFF-ωはD50=約1.0μm(図2参照)
- 図1. AFF-ωと改質剤の弾性率とIZODの関係
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- 図2. AFF-ωの粒度分布(レーザー回折・散乱法)
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