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当社は、これまでの豊富な取り扱い経験を基に、さまざまな肥料に関する専門的な情報を集約いたしました。
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シリカゲル

シリカゲル(silica gel)はゲル状の無定形な非晶質の二酸化けい素(SiO2)である。多孔質で、優れた吸湿性とガス吸着性があるため、工業分野には乾燥剤、吸着剤、脱色剤、触媒担体(キャリアー)等として広く使用される。

一方無定形な非晶質の二酸化けい素は酸とアルカリに可溶で、溶解後けい酸を放出して、作物に吸収される可能性があるので、高品質、高濃度のけい酸質肥料として使用される。

 

1.成分と性質

シリカゲルは珪砂または硅石に炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと反応させけい酸ナトリウムを合成し、さらに硫酸を使って、けい酸ナトリウムから二酸化けい素をゾル状に析出させ、脱水によりゲル化し、乾燥を経てできたものである。

シリカゲルの主成分はゲル状の非晶質二酸化けい素(SiO2)である。純粋の非晶質二酸化けい素は白色無臭の粉末で、水に難溶、酸とアルカリに可溶である。水での溶解度0.012g/100ml25℃)、その水溶液が中性である。シリカゲルの表面と内部に多数の微細な孔を有し、表面積が非常に広い。また、これらの細孔の表面に無数のシラノール基(Si-OH)が分布して、湿気や気体分子を大量に吸着することができる。

弊社は肥料用として販売しているシリカゲルには球状品と粉品の2種類がある。球状品は工業用乾燥剤を肥料に転用するものが多く、白色半透明の球状粒子である。一部が生産過程に発生した不良品で、黄白色または乳白色を呈する。粉品は白色~黄色の粉状で、大体球状品を生産する際に何かの不都合で割れたものや塊となったもの、濁った色を呈するものなどの不良品を粉砕したものである。したがって、粉品が球状品より断然安い。球状品は水分5%未満、可溶性けい酸含有量90~97%、粉品は水分が多く、7~15%もあり、可溶性けい酸含有量80~90%である。粉品の水分が高いのは、粉砕時に外部空気中の水分を吸着したことである。

シリカゲルは難溶性で、その水溶液が中性を呈するので、化学的中性肥料に属する。また、施用後、溶解して放出したけい酸は土壌を酸性化またはアルカリ性化にすることがなく、生理的中性肥料に分類される。

 

2.用途

シリカゲルは水蒸気など気体分子を強く吸着する機能を有するため、工業上に乾燥剤、吸着剤、脱色剤、触媒担体(キャリアー)等として広く使用される。

肥料分野では、シリカゲルは単独使用の場合が稀で、主に下記の用途として利用されている。

  1. 肥料の固結防止材
    シリカゲルの強い湿気吸着機能を利用して、肥料の固結防止材として使用する。吸湿作用が非常に高いので、化成肥料やBB配合肥料に球状シリカゲルを肥料重量の0.5~1.0%添加すれば、シリカゲル自身重量の60%以上の湿気を吸着することができ、優れた固結防止効果がある。
  2. けい酸質肥料
    シリカゲルは可溶性けい酸の含有量が非常に高く、けい酸質肥料として化成肥料またはBB配合肥料の原料に使われる。特に廉価のシリカゲル粉は化成肥料のけい酸成分増強材として、12~30%添加して、可溶性けい酸の保証成分値を10~25%押し上げることができる。BB肥料には球状シリカゲル12%以上を配合すれば、固結防止効果のほか、保証成分けい酸分10%のシリカゲル入り肥料として販売・使用される。
    シリカゲル入り肥料は主に稲作用肥料として使われる。その理由は水稲の生育に多くのけい酸が必要であり、けい酸不足の場合は水稲の生育が弱く、倒伏しやすく、収量が大幅に減る。シリカゲルは可溶性けい酸を多く含有し、水稲生育に必要な量を供給することができる。
    シリカゲルは中性であるため、作物の葉や根に直接に接触しても被害を及ぼす恐れが全くなく、非常に安全である。可溶性のけい酸なので、肥効の出現が非常に緩やかで、基肥に適する。
    けい酸の溶出に水が必要であるので、水田用の肥料としてのイメージが強いが、降雨量の多い地域では畑作、牧草用肥料としても一定の効果が期待できる。
    シリカゲルは化学的中性であるうえ、反応性がほとんどなく、非常に安定する。尿素、硫安、塩安などを混合してもアルカリ反応によるアンモニアの揮散が発生しない。また、過りん酸石灰や重過りん酸石灰、りん安(MAPとDAP)などを混合してもりん酸の難溶化が起こらず、BB配合肥料の原料としても適している。
    また、けい酸養分しかないので、過剰施用しても作物の生育への悪影響や拮抗作用によるほかの元素の吸収阻害がほとんど起きない。

3.施用後土壌中の挙動

シリカゲルは施用後、土壌中の酸と有機物分解で生成した有機酸及び作物根から分泌した根酸と接触して溶解し、けい酸を放出する。溶解速度は土壌pHと土壌水分に大きく影響される。概して、畑土壌では土壌pHが低いほど、土壌水分が多いほどその溶解が速くなる。一方、水田土壌では、水稲根の呼吸によって発生する二酸化炭素が水に溶かし、炭酸になるので、その炭酸によりシリカゲルの溶解を加速させる効果がある。

シリカゲルが可溶性けい酸以外の異物がほとんどなく、溶解した後、残留物がなく、土壌pHに影響せず、長期施用して土壌酸性を中和調整する必要がない。

シリカゲルの溶解が非常に遅く、肥効持続期間は相当長い。粉品の場合は水田に施用してから完全溶解し、無くなるまで23年かかるが、球状品の場合はその溶解が510年以上も継続する。

 

4.施用上の注意事項

 シリカゲル肥料はその溶解が非常に緩やかであるため、その施用には下記の注意事項がある。

  1. 早めに施用する
    非常に緩効であるので、早めの施用に努める。
  2. 均一に施用する
    全層施肥を勧める。全層施肥とは肥料を田んぼや畑に施用してから耕うんして作土層に全面混入するという施肥方法である。全層施肥により土壌との混合がよく、けい酸の溶出が多くなる。
  3. 粉品と粒状品の適用対象に注意する
    粉品は水田と畑とも使えるが、球状品は水田しか使えない。これは粉品の表面積が非常に広く、畑土壌でも一定の溶解量が確保できる。球状品は表面積が少なく、水分が少ない場合はけい酸の溶出量が非常に少なく、肥料効果が表れない可能性が高い。
  4. むやみに多量施用を避ける
    非常に緩効性のある肥料で、高価のものでもある。1回施用では2~数年間肥料効果が持続するので、毎年の施用が不要である。